部品を交換できる 3D の人物では、全身に着せた姿が原画に近ければ、部品もできていると考えてしまいがちです。そうした人物を Blender で作る技術検証の中で、部品を独立して作り直せる仕組みと着衣の全身での比較までそろえたあと、部品を1つずつ単体で描き直しました。すると、服や隣の部品に隠れていた身体の隙間や袖口の欠けが見えてきました。
結論
- 部品を互いに独立して扱える作り、手順から作り直せること、着衣の全身での比較がそろっていても、部品単体の造形が良いとは限りませんでした。
- 9 つの独立したファイル(86 メッシュ)を、単体の状態と、隣の部品とだけつないだ状態で 42 枚描き直しました。身体には肩の分離と腰から脚にかけての隙間、上衣には袖口の欠けと腕を上げたときの変形・干渉、下衣には重なった面の段差が見えました。
- 確かめる順番は「単体を多方向で比べる → 隣の部品とつなぐ → 全身で交換して動かす」と決めました。形が届いていなければ、全身に組んで隠さず、単体の修正へ戻すことにしました。
試した環境
- 対象: 社内で試作していたキャラクターの、交換できる部品。男女の素体・上衣・下衣、革のミトン、革のブーツ、短剣
- 道具: Blender。部品ごとに空のシーンから作り直し、それぞれ別のファイルに保存しました
- 参考: もとの衣装の原画を主に使い、新しく作った部品ごとの三面図は補助としました(較正はしておらず、見えない面は推測です)
着衣の全身で比べていたあいだは、見えていなかった
最初の確かめは、部品を互いに独立して扱えること、手順から作り直せること、着せた全身で比べることが中心でした。独立して扱えることと作り直しは通り、着衣の全身での比較もそろっていました。
そこへ人から、着衣の全身を中心にした確かめでは、部品単体の比較が足りないと指摘されました。服を着せた全身では、服の下の身体や、隣の部品に重なった所は見えません。そこで、身体・服・手袋・靴・武器を空のシーンで別々に保存し、単体と、隣の部品とだけつないだ状態で描き直しました。

部品を単体で描き直したら見えたこと
次の画像は、服を着せずに描いた身体の単体です。服で隠れていた肩の分離が見えます。

部品ごとに見えたことと判定をまとめました。
| 部品 | メッシュの数 | 単体で見えたこと | 判定 |
|---|---|---|---|
| 素体(男女) | 各 7 | 肩の分離、腰と脚の間の隙間 | 連続した素体としては不合格 |
| 上衣(男女) | 各 18 | 横から見ると袖口の下側が欠けている。腕を上げると袖口の変形とベルトの途切れが見える。女性用は原画の打ち合わせの裾に対し、直線の裾に斜めの線を置いた形だった | 不合格 |
| 下衣(男女) | 各 3 | 腰と左右の脚の筒の重なりが、丸い別の布や横の段差として見える | 不合格 |
| 革のミトン | 左右で 6 | 手首にはつながるが、カフが大きな球の塊に見え、掌との境がはっきりしすぎている | 美術上の差が残る |
| 革のブーツ | 左右で 12 | 静止した姿勢では足首とつながるが、履き口の境と角ばったつま先が、原画の柔らかさと違う | 美術上の差が残る |
| 短剣 | 12 | 鍔に近い柄に、小さな明るい筋がある | 仕上げが残る |
単体で見ると、原因のありかを分けられる
単体で描くと、見えなかった所が見えるだけでなく、問題がどの部品のものかも分けられます。
短剣の柄の明るい筋は、短剣を単体で描いても出ていました。手と組み合わせたことによる跡ではなく、武器の表面そのものの問題です。同じ柄は、革と金属の手袋で位置を直さずに共用できました。手袋だけ、短剣だけ、両方、手首と袖を足した状態、武器なしを、同じカメラで描き分けて確かめています。
上衣のベルトの途切れは、ベルトがもともと胴に割り当てられていたので、腕のウェイトが原因とは決めつけませんでした。隠れ方や干渉の問題と、変形の問題を分けて調べることにしました。
交換できることと、形が良いことも分けました。同じ下衣のまま靴だけを交換できること、下衣や脚を変えずに革と青銀の靴を入れ替えられることは確かめられましたが、それをもって造形が合格とはしていません。
素体については、どこまでを素体が受け持つかも見直しました。首は頭の側、股の表面は下衣の側、手足の先は別の差し込み口が受け持ちます。服で隠れる所まで含めて素体ができたとは扱わず、服で覆う前に、素体の受け持つ範囲と、連続した面の作りを決める工程へ戻しました。
見直しで決めた順番
次の図は、部品を確かめていく順番です。単体の形が届いていなければ、全身に組む前に単体へ戻すことにしました。
全身で交換したり動かしたりするのは、部品ごとの見た目の確かめを通った後としました。
確かめていないこと
- ここで見たのは古い版の部品で、その後の版の評価ではありません。その後に作り直した代表的な部品が合格したかどうかは、確かめていません。
- 人の目による最終的な見た目の判定、実際に移動しながらの歩き、エンジンに読み込んでの動作、軽量化と描画の速さも、この見直しからは確かめられません。
おわりに
着せ替えの部品は、全身に着せた姿が良く見えても、単体で描くまで分からない欠けがありました。私たちの試作では、部品を1つずつ描いて比べてから組む順番に改めました。


